
みんな元気なん?どないしてはる? @SHARP_JPです。しゃべるように書き出してしまった。私は生まれも育ちも関西で、いまも関西に働く場を得ている。この文章も関西で書いている。けれど私は、ツイートやチャット、LINEといった、しゃべるように書く場所で、関西弁を使わない。それは相手が関西人とは限らないということもあるけど、発信はできるだけフラットにしたいという背景が自分の中にあるからだろう。
とはいっても、私は自分が関西人であることをひたむきに隠したいわけではない。自分がローカルな人間であることを恥じることはないし、別のローカルな人の使う言葉や話題にも興味がある。テレビをつければ、いつでも県民性の話題が語られているように、私も私とは別のローカルな事柄について、聞いたり語ったりするのが大好きだ。
県民性について語ることは、平和な議論に終始する数少ないテーマだろう。初対面の人と交わす話題にもうってつけだ。共通項が見つかれば首肯しあえばいいし、知らないことならじっと耳を傾ければいい。ただし関西人は、そこに勝ち負けを持ち込みがちだから、少し注意が必要だが。
それが今年は様子が違う。ウイルス禍によって「県をまたぐ移動を控える」という観点が、私たちの生活に持ち込まれてしまった。私とあなたの平和な差異をうきぼりにする県民性が、あたかも清濁を分ける壁のように感じてしまう人すら出る始末だ。ローカルとローカルの、あるいは都市と地方の分断が、目に見えない空気からもたらされるなんて、こんなにやるせないことはないと思う。
大阪アフターコロナ(chiku著)
だから現在の嫌な空気を、ローカルからタイムリーに笑かそうとするこのマンガを見て、私は少し救われた。関西に生まれ育った私には、自転車のハンドルに屹立する傘も、親子の顔を覆うサンバイザーも見覚えがあるものだし、なんならカゴに蓋するネットも、おばちゃんの服とスパッツの柄さえ、ありありと描き加えることができる。
そして私はいま、その見慣れた風景をブラブラ歩きたい。それから私はその見慣れた奇特な風景を語ってだれかに笑われたいし、別の場所の奇異な風景や習慣をゲラゲラ笑いたい。四、五人でビールを飲みながら笑いたいのだ。