エアコンはじめましたか、@SHARP_JP です。虫の季節である。きのうの晩も暗闇で蚊の羽音に悩まされた。そして足の数ヶ所がかゆい。カメムシを避けて動くのも板についてきた。まもなく蝉が現れるだろう。そして満を持してアレだ。
さいきんはなにかとGと表記して、あのグロテスクさをやんわりと包む傾向があるが、怖いもんは怖い。殺虫剤の広告も、気づけばGをかわいい風のイラストとか手で動かすパペットみたいな描写をされている。昔はもっとおどろおどろしい姿がコマーシャルにうごめき、そのリアルさゆえに「買わねば」と視聴する者に喚起させていたように思う。虫方面にも、配慮の風潮がやってきているのだろう。
とにかくゴキブリ(配慮なし表記)は、人間をびっくりさせる点において、虫の中でも群を抜いて嫌悪されるのではないか。カサカサという聴覚情報と黒光り高速移動体という視覚情報が同時に知覚される、あの深夜の前触れなき遭遇にいったい私はなんど悲鳴をあげてきたことか。
蚊や蝉ですらプーンとかミンミンという音で自らの存在を予告する。カメムシだって人目を避けて暮らしていた結果、われわれはやむなくベランダやドアノブで遭遇するのだ。それに比べてGは、ゴキブリは、あまりに遭遇が傍若無人すぎる。そこがどうしても嫌悪を緩和できない。あまつさえ飛ぶし。
『つれづれ日記』「G対策本部」(珠虫さとり 著)
私の勤める会社の製品に、蚊取り空気清浄機というものがある。空気清浄機が部屋の空気を吸い込むのと同時に、蚊もいっしょに取り込んでしまおうという魂胆の製品である。蚊を誘い込みやすいように紫外線ライトを配し、本体も蚊が好きな黒色に施してある。空気清浄機の背面には粘着シートが装着され、吸い込んだ蚊はそのシートにくっつけてやっつける仕組みだ。粘着シートは、巨大なゴキブリホイホイをイメージするとわかりやすいだろう。
私なんかは、部屋に小動物がいたりして殺虫剤を使うことに抵抗がある人にうってつけだし、空気清浄のついでに蚊を未然に防ぐなんて、虫嫌いにとってまことに合理的だと感じるから、夏には積極的に推すようにしている。しかし毎回蚊取り空気清浄機の話をすると、粘着シートの処理はどうするんだと、なかば非難めいた指摘を受けるのだ。
蚊を吸い込んでくっつけた粘着シートは数ヶ月を目安に交換する。粘着シートは内側へ半分に折れるようになっているので、捨てるのもかんたんだ。しかし極度の虫嫌いの人にとっては、シートを折りたたむ刹那にも虫の死骸を目にするのがストレスなのだろう。嫌いゆえのイメージだから、粘着シートにびっしりと付着した蚊を盛って想像してしまうのだと思う。しかしそのプロセスだけはいかんともしがたいので、私は「その時だけは勇気を出して」と返答するしかない。
虫嫌いにも濃淡や多様性がある。このマンガの作者のように、アシダカグモに敬意を払える人もいれば、生死を問わず一切の昆虫を視界に入れたくない人もいる。しかしあらゆる虫嫌いに共通するのは、Gの存在であろう。これから気温もグングン上がる季節である。Gとの遭遇にはくれぐれもご注意を。