罪の多い生涯を送ってきました、@SHARP_JP です。誠に申し訳ございません。本日は懺悔にやってまいりました。告白いたしますと私は長年にわたり、インターネット上で花粉症のふりをしてまいりました。しかし実のところ、私は花粉症ではありません。
例年冬が終わるこの時期、私は花粉を案ずるツイートをしながら、実際はただただ春を待ちわび、ウキウキと過ごしておりました。誠に申し訳ございません。花粉症の方々が憂鬱になるこの季節ですが、私にとっては木々が芽吹き、日毎に暖かくなる希望の時間です。だから私は、この時期が好きです。誠に申し訳ございません。
ですが後学のためにも、今日はこの場をお借りして、なぜ私がインターネット上で花粉症のふりをするにいたったかを釈明させていただきたいのです。もちろんそれだけで、私の「ビジネス花粉症」への断罪が許されるとは、つゆほども思いません。どうか花粉症のみなさまにおかれましては、ご容赦のほどをお願い申し上げる次第です。
さて、私の「ビジネス花粉症」に責めを帰する理由は、ひとえに空気清浄機の存在にあります。私は空気清浄機を売るという仕事を課せられているのです。春の足音が聞こえる頃になると、私は花粉症でお困りの方に花粉の除去には空気清浄機が有効であると、グイグイ推さねばならぬのです。つまり空気清浄機の売り上げが、私の社内における評価を決定づけると申し上げても過言ではありません。私の春のお賃金は、花粉と空気清浄機に左右されるのであります。
みなさまはご存知ないかもしれませんが、花粉の飛散が始まると同時に、インターネット上では「空気清浄機」の検索数が増加の一途をたどります。それはもう見事に、花粉の飛散量に比例したカーブを描くのです。時を同じくしてツイッターでは「花粉」のワードを含んだツイートが爆増します。その様子はまさに花粉が飛び交うようで、ツイッターが黄色く霞むような錯覚をもたらすほどであります。
そしてツイッターやインターネットに深く身を沈める私は、信じてもらえないかもしれませんが、だんだん自分が花粉症であるかのような心持ちになるのです。花粉症のみなさまの鼻グジュグジュやくしゃみを眺めるうち、私もまるで花粉症であるかのような気持ちになって、つい花粉を案ずるツイートを投じてしまうのです。そのたびに私はハッと我に帰り、そのビジネス花粉症ツイートを打ち消すように、いえむしろ整合性をとるかのように、続けて自分の働く会社が製造する空気清浄機をおすすめするのであります。誠に罪深い、かつ強欲な行為であると、私は慚愧に堪えません。私が行ってきた、ビジネス花粉症やにおわせ花粉症ツイートの数々、誠に申し訳ございませんでした。
まいにち日記(鮎 著)
しかしついにと申しますか、年貢の納め時と申しますか、どうも今年の私は様子が違うと感じております。長年のビジネス花粉症という悪行に、とうとう鉄槌が下されたのかもしれません。なぜならこれを書く私の鼻はいま、グシュグシュしているのです。頭はぼんやり、くしゃみも断続的に続いております。とうとう私は、花粉症になったのかもしれません。
しかし私はまだ、認めたくないのです。このマンガの作者のように、私もまだ、自らの花粉症を認めたくない。冬が終わり、春めくこの季節を、憂鬱な時間にしたくない。私は部屋の空気清浄機を常時オンにしながら、それでもまだ、認めたくないのです。
花粉症、こんなにつらいものだったんですね。認めたくないけど。