茶色い調理が得意です、@SHARP_JP です。苦手な人にとって、料理のハードルはいたるところにあるだろう。めんどくさい、時間がない、金がないという3大ハードルは別にしても、自分で料理して食べる、あるいは食べさせるまでを完遂するには、さまざまな障壁がある。さらに料理のプロセスにまで目を凝らせば、億劫に感じる手順や食材なども見えてきて、家事としての料理はハードルだらけといっても言い過ぎではないと思う。
私にとって最大のハードルは「揚げる」だ。なにかを作ろうと思い立っても、調べたレシピに油で揚げるというプロセスが見えたとたん、私は気力が萎える。というより、作らない。そうするうちに私の料理スキルは、焼く・煮る・炒める方面だけが発達し、揚げるが不在のまま固定されてしまった。ちなみに「蒸す」もちょっとハードルを感じる。揚げ物の料理名を検索すると、「揚げない」が関連ワードにあがるのを見るにつけ、私と似たハードルを持つ人は多いのではと思っている。
だいたい「揚げる」はこわい。幼い頃から天ぷら中の火災などと称して、油から炎が燃え盛る光景を刷り込まれたせいかもしれない。キッチンが汚れるとか、後始末がたいへんとか、油がはねるとか、揚げ物にまつわるおっくうさはもちろんだが、油が炎にかわるほどの温度で調理をする自信がどうしても持てず、いつまでたっても揚げるを避け続けている。
そこから私は、話を揚げることが怖くなくなる調理家電の宣伝につなぐこともできるのだが、そんなことは今どうでもよい。とにかく私は「苦手意識」にもさまざまな種類があって、一度自分の苦手をていねいに見つめれば、苦手のネタ元が案外と特定のプロセスにあるかもしれないよね、ということが言いたいのだ。
もしそのプロセスにハードルがあるのなら、そのプロセスを避けたり解消する方法を考えれば、すんなり苦手意識は解消するかもしれない。現に私は、揚げる以外の料理が、いまはまったく苦ではない。料理という行為まるごとを苦手だと思っていた時期があったけど、私は「揚げる」プロセスを億劫に感じていただけだったのだ。同様に、食器を洗うとか、ペティナイフで皮を剥く、といったプロセスを気に病む人はいるのではないか。
はぐネコ 41話(久麻ナミ 著)
揚げるを避けると決めた私は、しばしばレシピからはしごを外される。揚げ物でないレシピでも、プロセス順に調理していくと唐突に「素揚げする」なんて作業が現れることがある。急にはしごを外されて、エプロン姿の私は進むも退くもできなくなる。あれは困る。このマンガのように、急に「ミキサーで」とか「200℃のオーブンで」などとプロセスが命じ出すと、持ってない人は立ち尽くしてしまうだろう。
たしかに料理は、当たり前のように道具を要求する時がある。そういう道具を作ったり売ったりする私のような者は、そんな時こそチャンスにはちがいない。しかし同時に、料理をはじめようとする人にとって、特定の道具を要するプロセスが、料理まるごとを苦手と感じる意識へ極大してしまう危機でもある。
レシピから持っていない道具を要求されるのは、行こうと楽しみにしていた場所のアクセスに、車で向かう方法しか書かれていなかった絶望と似ている。膨大な時間や労力を差し出せば、代替の方法がないわけではないところがまた億劫さに拍車をかける。つまりは結局、道具なのだろう。私たちの苦手を救うのは、人類の叡智とそれなりのカネを投じた道具なのだ。そこではい、みなさん。こちらのオーブンレンジ。シャープなら揚げないからあげまでできるヘル(以下略